商取引が現金を使わずにオンライン化された場合にどうなるかという話。
新しい習慣を始める時、そのメリットは声高に宣伝される。
デメリットについてももちろん提示される場合はあるが、
メリットに比べて考えきれていない気がする。
新しい提案を否定するものだから積極的に考えたくないという気持ちはわかるが、
場合によっては大きなマイナスを生む可能性もあるわけだから、
メリットと同等の時間をかけて考えるべきだと思う。
現在、日本でも現金からキャッシュレスに向かって進もうとしている。
キャッシュレスのメリットはよくわかるし、享受出来ている。
デメリットについてはあまり考えていなかったが、改めて考えてみた。
まず、その人のこれまでの経験によっても影響は異なるだろう。
長年、現金を使った取引をしてきた大人であればキャッシュレスになったとしてもお金の価値や重みはわかるだろう。
しかし、キャッシュレスネイティブな子供はどうだろうか。
物理的なお金に触れる機会がないままキャッシュレスでの生活になったとき、
彼らの抱くお金の価値観と、現金取引を知っている大人の価値観は一緒だろうか。
以前、学生ローンを使っていたことがあった。
銀行の口座開設時に申し込むことで10万円までその口座でお金を借りることが出来た。
残高:0は使えるお金の限度ではない。
-100,000がその口座の下限なのだ。
いつの間にか、-100,000まではOKという感覚が身についていた。
-100,000が近づいてきたら、とりあえず30,000くらい入金して残高を戻す。
-100,000にならないようにすれば良いと考えていた。
当時、利息は年間で6,000円くらいだった気がする。
それくらいだったらいいや、という気分だった。
就職後、完済してやめたのだが、残高を0にすることが何か損をしている気持ちになったことを覚えている。
現金を使わない数字だけの取引はこのようなおかしな金銭感覚を植えつけてしまう気がする。
キャッシュレスの推進は大事だと思うが、こうした金銭感覚のズレと、それによって生じる金銭的トラブルが増えないかについても注視していく必要があると思う。